精神科は、繁華街で仕事のストレスを抱えるビジネスパーソンを扱うメンタルクリニックから訪問看護や急性期病棟まで、様々な形態がある。
どの職場でも、神経過敏になりがちな患者とのコミュニケーションにおいては他の病棟より細やかな気遣いが求められるため、カウンセリングなどの場面で慎重さが欠かせない。問診の段階でうかつな声かけにより患者の神経を逆撫でしてしまうリスクもあるため、注意が必要だ。
しかし、うつ病や不安神経症など、日頃のストレスにより一般人も罹患しやすい疾病を扱う完全予約制のクリニックであれば夜勤や超過勤務が少ないケースが多く、看護師が定時に退勤できる可能性は高い。こうしたクリニックや慢性期病棟なら、子育てや家事と仕事の両立というワークライフバランスも可能だ。
もしスキルアップして認定看護師や専門看護師の資格を取得したいのなら、精神科独自の知識やスキルを身につけられる急性期病棟が適している。
妄想や幻覚により粗暴な行為におよぶ可能性のある患者を扱う急性期病棟の現場では、男性看護師を多く採用することも珍しくない。時には男性看護師が力ずくで患者を抑えることが必要な場面もあるためだ。
また、投薬治療の多い精神科では、看護師が扱う薬物の種類が多いことも特徴だ。ジェネリック医薬品の登場により同じ薬理作用でも違う名前の薬物も多く、薬物の管理は慎重さが求められる。
向精神薬の中には副作用の強い薬物もあり、誤った服薬のリスクは絶対に避けなければならない。精神科の疾病により命にかかわる状況に至ることは少ないとは言え、こうした投薬治療の医療過誤のリスクがあることを忘れないようにするべきだろう。